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最新情報

感謝

本年は大変お世話になりました。

5月1日に福岡市城南区に在宅療養支援クリニックここはるを開設させていただき、あっという間に7ヶ月が過ぎました。

あっという間に感じたのは、本当にたくさんの生きる物語に触れて1日として同じ日のない日々を過ごさせていただいたからだと思います。

たくさんのご縁を頂きました。

たくさんの人生の先輩方に、あらためてともに生きることの意味を教わる一年になりました。

心より感謝です。

また明日より心新たに、地域の皆様の安心して暮らすことに資する社会資源となれるように、ここはる一同で一層の努力をしていく所存です。

至らぬところも多々ございますが引き続きご指導ご鞭撻賜われれば幸甚です。

来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

在宅療養支援クリニックここはる 新田壮平

緊急事態宣言が解除された後、わずか一週間で感染者は増えてきていますね。

依然予断を許さない状況です。

引き続き三密は避け、手指消毒、手洗い、マスク(飛沫拡散の防止)は徹底していく必要がありそうです。

治療薬は充分と言えるものが登場していませんが、唯一効果としてエビデンスが出つつある薬がレムデシビルです。

今回はNEJMに報告されたレムデシビルについてのRCTを紹介します。しかしPreliminaryの報告です。

論文は

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2007764?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%3dpubmed

です。

2020年2月21日から4月19日までで、USA、イギリス、ギリシャ、ドイツ、韓国、メキシコ、スペイン、日本、シンガポールであわせて1063人が治験に参加しました。

主要評価項目は回復までの期間であり、状態を下記の8つのカテゴリーに分け、カテゴリー4〜7の状態からカテゴリー3以下に改善するまでに期間を比較しています。

参加された患者さんの背景です。白人が多いです。これまでの報告で死亡率に地域差がみられていたことから、注意が必要です。

発症から参加までの期間は9日です。

また気になる点として、カテゴリー7、すなわち状態の極めて悪い患者さんがプラセボ群に多い印象ですが、割り付けに差はないとコメントされています。

結果は、主要評価項目:回復までの期間において、レムデシビル群は11日、プラセボ群は15日(Rate ratio 1.32 95%CI 1.12-1.55 p<0.001)であり統計学的有意差をもってレムデシビル群の方が短縮するという結果になりました。

参考として死亡率@14日目はレムデシビル群で7.1%、プラセボ群で11.9%でありHazard ratio0.70(95%CI 0.47-1.01)となっています。

人口呼吸器、ECMO使用状態まで状態が悪化している場合はほとんど効果は期待できない印象で、やはり早期診断が重要であり、状態悪化傾向を早めに検出し治療を行う必要がありそうです。点滴の投与なので入院が必要であり、この点からもオーバーシュートを回避し医療資源を適切に使用することが非常に重要ですね。

治療薬の選択肢が出来ることで今後の検査の考え方も、経過観察の仕方も変わっていきそうです。

今回の報告ではレムデシビルはCOVID-19の感染に対し効果があると言って良さそうですが、今後の報告と別のRCTでの検証結果を確認したいところです。

事前に報告されたLANCETのレムデシビルのRCTの報告では、武漢の封鎖のため途中でリクルートが不能になってしまっているものの、治療効果が得られていない結果でした。人種差や投与開始時期も今後注意して行く必要がありそうです。

Wang Y, Zhang D, Du G, et al. Remdesivir in adults with severe COVID-19: a randomised, double-blind, placebo-controlled, multicentre trial. Lancet. 2020 May 16;395(10236):1569-1578. doi: 10.1016/S0140-6736(20)31022-9. Epub 2020 Apr 29. (Original study)

参考

https://www.pmda.go.jp/drugs/2020/P20200518001/230867000_30200AMX00454000_A100_1.pdf

ここはるのブログでは、スタッフ一同より皆様に様々な情報をお届けしていきたいと思います。

情報をお届けする場合には、科学的根拠(エビデンス)の質に注意して、お届けしていきたいと思います。

また、診療や連携を通して学ばせていただいた暗黙知を、よりはっきりとしたものにして今後の活動に活かせるように、私達にとっても知識の整理、学びの場にしていきたいと思います。

安心して暮らせる社会つくりのためには、信頼できる医療の情報源が必須だと思います。そのような情報の場になるよう努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いします。

ここはる院長 新田壮平